一つになるための最後の祈り

2010.2.28  ヨハネ 17:20-26  河野美文神学生

 イエス様は目を天に向けられ、祈り始められます。「父よ、時が来ました。あなたの子があなたの栄光を現すようになるために、子に栄光を与えてくださいました」と。

 受難の時は、イエス様の肉体が死を迎えるときですが、ヨハネの福音書では、初めから、「栄光の時」と言われています。この「塵から造られた儚い血肉の体」が死を迎え、全人類の罪の為の、身代わりの死が成し遂げられました。その結果、私達は罪に勝つことが出来ます。永遠の命に連なる復活の命に与ることが出来るのです。

 イエス様は、更に今キリストを信じる者達に、彼らの言葉によって信じる新たな者達が迎え入れられることを予告されます。それらの人々を含めた「すべての人を一つにしてください」と。それは、この世を見捨ててのことではありません。この世から、イエス様に属する者が起こされるという予告であります。

 そして、一つにされることは、まず御父と御子の愛による結びつきを基礎として、その愛の中にすべての人が入ることなのだと説明し、求められています。「そうすれば、世は、あなたがわたしを御遣わしになったことを、信じるようになる」と。ひたすら世から守られることを祈っておられたのに、ここからは一転して、世に対する働きかけを述べられます。

 教会の一致は、時を経るに連れて破壊される恐れがあります。しかし、信者の全てが、神とイエス・キリストから来る交わりの中に立つならば、教会の存在は、世に対する強い伝道になるということであります。