2023.6.25 の週報掲載の説教

2023.6.25 の週報掲載の説教
<2023年4月30日説教から>

『約束の子』
ローマの信徒への手紙9章6節~9節

牧 師 鈴木美津子

 
ところで、イスラエルから出た者が皆、イスラエル人ということにはならず、またアブラハムの子孫だからといって、皆がその子供ということにはならない(6-7)」。

イスラエルとはどのような者を言うのだろうか?イスラエルとは、単にアブラハムと血が繋がっている者のことを言うのではない。神とアブラハムとの約束を受け継ぐ者のことを言うのである。神がアブラハムと結ばれた契約を受け継ぐ者、それが真の神の民イスラエルである。聖書は、この約束がイスラエルの民の一員として生まれたイエス・キリストにおいて実現したと教えている。そのことを示すために、イエス・キリストは、おとめマリアの胎に、聖霊によって宿るという仕方でお生まれになったのである。

聖書は、このイエス・キリストこそ約束の子であり、このお方において、神の約束はことごとく実現したと教えている。そして、イエス・キリストを信じる者たちこそ、神の契約を受け継ぐ神の民イスラエルであるとも教えている(ガラテヤ6:14-16)。

私たちは血筋から言えば、アブラハムともヤコブともつながってはいない。けれども、約束の子であるイエス・キリストと聖霊によって、また信仰によって結ばれているゆえに、神の民イスラエルなのである。イエス・キリストを信じて教会の一員とされている私たちは、神の約束、契約を受け継ぐ神の民とされている。神は、私たちを通して、すべての民を祝福しようとしておられる。そして、その祝福はイエス・キリストの福音を宣べ伝えることによって実現していくのである。だから、復活されたイエス・キリストは、その弟子たちに、「すべての民に福音を宣べ伝えよ」と命じられたのである。

かつて、アブラハムとサラは、またおとめマリアは、信じられない、ありえない神の計画を告げられた。しかし、彼らは、堅く信仰に立って、これを信じた。このことは、私たちの福音宣教においても言えることである。主イエスは、「この町にはわたしの民がたくさんいる」と約束しておられる。しかし、その約束も、私たちが信じて、福音を伝えなければ実現することはない。なぜなら、神は、この私たちを用いて、すべての民を祝福しようとしておられるからである。