永遠の命に至る食べ物

2009.3.15  牧師 中家 誠

 「あなたがたは朽ちる食べ物のためではなく、永遠の命に至る朽ちない食べ物のために働きなさい」(ヨハネ福音書 6:27)

 ここに2種類の食べ物があることが言われている。この世の肉体を維持するところのものと、それにとどまらず、それ以上のものがこの世にあるということが。これら2つの世界にまたがって、わたしたち人間は存在しているのである。

 「永遠の命に至る朽ちない食べ物」にあずからない人間の一つの現実が、今、全世界でくりひろげられている。「経済的世界恐慌」という形で。

 過日の夕刊に、次のような見出しの記事がのっていた。「傷つき祈る 強欲の街-ウォール街」。この出来事を惹き起こした直接的、かつ根本的原因を厳しく糾弾した言葉である。

 果てしない人間の強欲。「朽ちる食べ物」のみを求めて生きる人間の行き着く先が何であるかを、これは見事に言表わしている。そこには、「人間の共存」という姿もなければ、他者を思いやる心もない。

 「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言葉によって生きる」と聖書は教えている(申命記 8:3)。

 「朽ちる食べ物」のためにだけ生きる時、人間そのものが朽ちて行くことを、わたしたちは思い知らされるのである。