2023.6.4 の週報掲載の説教

2023.6.4 の週報掲載の説教
<2023年4月16日の説教から>

『驚くべき恵み』
ローマの信徒への手紙8章34-39節

 
牧 師 鈴木美津子

わたしは確信しています。死も、命も、天使も、支配するものも、現在のものも、未来のものも、力あるものも、高い所にいるものも、低い所にいるものも、他のどんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスによって示された神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのです(38-39)」。

これは、全ての人間に共通な時間的、そして空間的な枠組みであり、また私たちの人生観世界観の枠組みであるともいえる。要するに私たち人間が知りうるすべてのことである。私たちをキリストの愛から引き離そうとする理由はなんと多いことか。私たちを取り囲み、私たちの知りうるすべてのことが、私たちをキリストの愛から引き離そうとする力となりうるのだ。しかも、ここで列挙されているものに共通していることは無秩序な力であり、人間が頑張って抗える相手ではないということである。しかし、その全てが、私たちに束になってかかってきたとしても、「わたしたちの主キリスト・イエスによって示された神の愛から、わたしたちを引き離すことはできない」、とパウロは宣言する。それでも尚、私たちは「キリスト・イエスに結ばれている」ことにはなんら変わりがないからである。キリストに結合されている以上、私たちがどうあがいても何ともならない力にでさえ、「神の愛から、わたしたちを引き離すことはできない、輝かしい勝利」が約束されている。

パウロにとって、大切なことは「キリスト・イエスに結ばれている」という、この真理である。そしてこの真理こそがパウロにとってアメイジング・グレイスなのだ。

Amazing grace・・・、「驚くべき恵み」。実にキリスト教信仰は信じるものを、困惑させるほどの信じ難い驚きなのである。それは不意をつかれて驚くようなことでは決してない。信じられないことを信仰する、これがキリスト教信仰である。それだけ、キリストの恵みは強烈なのである。